ケラチン成分の座学講習

久しぶりに毛髪化学の座学講習に参加して来ました。

タイミングが合い、声かけていただいたので二つ返事で
「行きますよ」
と返答したものの、よくよく考えてみると、7月最終月曜日。

毎年この日は決算後の税金納付でパタパタする月末の月曜日だったのをすっかり忘れていました。
午前中に公私のタスクをこなし一路丸亀まで。
あまり道中を考えずに向かうのはいつものこと。
そして道に迷うのもいつものこと。
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夏の空に映える、丸亀城が壮大でした。

美容師に向けての講習も、おおよそ3パータンに分けられます。

1番・メーカー主導の講習
2番・ディーラー主催の講習
3番・美容師主導の講習

私たちは3番を常に選んで学んでいます。
現場でうまれる経験と技術、自分たちへのフィードバックが多く、何よりもお客様に直結するから。
講習での学びは、私たちを信頼してご来店して頂いている皆様の役に立たなければ意味がないと考えています。

今回は久しぶりにメーカー主導の講習でした。
「ほんでどななったんな?」
と聞かれると
「じょんならんかったわ」
と。

メーカーは自社製品をセールスすることが目的。
それが目的の講習なので当たり前。重々理解しています。

「これは覚えておいてくださいね」

カチオン化ガンマケラトースやファイ型羽毛ケラチンを覚えても、意味がない。
そう考えます。
まったくの無意味とは言いませんが、そこじゃないのでは?と。

かれこれ15年近く前かな?mixi全盛期の時代。
ネット美容師という単語がで始めた頃、各地の美容講習を探してはあちこちに言っていた頃。
もちろん美容師主導での、現場の知識をシェアする講習がほとんどでした。

今回参加した講習も、その頃に同じメーカーの近しい内容を受講していました。
本質的な部分でアップデートしていない講習内容・製品シリーズ。
そこに価値はあるのか?
それはお客様の役に立つのか?
そのロールモデルを継続して構わないのか?
辿った記憶の中と変わらないスタンスでの講習内容でしした。
僕が感じた疑問は僕の課題ではないのでまったく問題ないと思っております

以前は僕も様々なトリートメント原材料を取り寄せ、あれやこれやと大した知識もないままに
「お客様の役に立つ」
と信じて
「被膜性トリートメント」
に取り組んでいたました。

その頃に学んだことは糧になっていますが、いまでは使っていない原材料がお店のあちこちに。

いわゆる、サロントリートメント。
ケラチン浸透、コラーゲン浸透、オイル浸透、etc.
どのメーカーも
「お客様のために、そして単価アップのために」
そんなセールスがよく配られています。
どちらも大切なことです。
理解しています。
でも、単価アップのため>お客様のため
そんな不等号が優先されているような気がしてなりません。

企業の存続は大事なことです。
拡大路線でのサロン経営も理解できます。
それでもなんだかいろんなことが腑に落ちない気がしてならない、この頃の美容業界。

今回の講習で一番納得がいかなかった事。
それは、
「ビビり毛も高分子ケラチンでおさまります」
多分。いや、間違いなく僕の表情には露骨に現れたと思います。
「それはじょんならんわ」
という心の声が。

「治ります」
と言わなかっただけ、まだ良いのかな?
それでも誤解を招きかねないよな。
それどうなん?
いろんな心の声が顔に出たはず。

ビビり毛とは、ストレートで薬剤が浸透・反応しすぎる事。

のような状態。

髪質や施術履歴、使用したであろう薬剤によって状況は様々です。
このような状況になられた新規のお客様が、月に1〜2人ほどコンスタントにご来店頂いています。

皆様、それぞれにとてもお困りです。
びっくりするくらいストレスですよね。
毎朝のヘアスタイルの憂鬱は1日を気持ちよくさせてくれない。

どうにか今の悩みを解決させて頂きたい、技術者としての提示をしたい。
あまりにもこのような状態でご来店頂くお客様が続いているので、少し考えていることがあったりしますがそれはまた別の機会に。

ちなみに、このような状態でご来店頂いても
「髪がなおります」
とは言いません。言えません。
何よりもカットで切ることが1番の解決です。
それもなかなか出来ない状態の方も多々おられます。

「毎日のストレスを緩和するためにできることはあります」
「新たに薬剤を使うのでリスクは高いです」
「髪は傷んだら元には戻りません」
「なぜ今の状態になってしまったのでしょうか?」

様々な角度から状況をお伺いすることになります。
話しが長いです。
そして私たちも完璧ではありません。
それでも、このような状態にしてしまったサロンや担当された美容師の方より、少しだけ違う解決方法を持っています。

デリケートな毛先に注視して、補正を行います。

誰かの、どこかの美容師さんの安易な薬剤選定の施術をリカバリーする。
とてもプレッシャーですし、どこかの美容師さんに対しての憤りを感じます。
「なんでこななったと思うんな?」
「ほんでどなするつもりだったんな?」
小一時間ほどヒザを突き合わせて問い詰めたい気持ちになります

ただしこのような状態、ビビり毛になってしまった場合は店主のみしか対応しません。
スタッフにそんなリスクは負わせられません。

店長やマネージャーや代表がお客様の状態を分かっていて、このままにしておく。
デザインも大事です。素材も同じように大事にしませんか?
渡り六分に景四分。
その割合も全部が全部同じですか?
ケラチンでどうにかなりますか?
サロントリートメントでどうにかなりますか?

「この薬剤は化粧品登録なので大丈夫」
「このトリートメントを使っていたら大丈夫」
「この水さえあれば大丈夫」

Aという商品があるから、大丈夫なんだよね。
少なからず現場の人間にそう思わせてしまうことは全くもって納得できません。

【モノ】ではなく【コト】
モノという商品だけを追いかけていては本質にはたどり着かないということ。

美容業界、アップデートしないといけない時代に入ってしばらくすぎた?ノーリターンポイントまでどれくらい?
と、色々なことを考えています。
全部のサロンにおいてアップデートが必要であるとは思っていません。
他のサロンの課題は、私たちの課題ではないから。

それぞれのサロン・美容師さんが信じる道を進むべきだと考えています。
進む道がお客様のため、スタッフのためになるのであれば。

親方丸儲け的な昭和の発想は、すでに過ぎ去り過去のものになっています。
そんな勤務先の状況に嫌気がさして独立に踏み切った美容師さんも多いと思います。
美容室も色々な角度でアップデートが必要だな、と。

色々な状態のお客様の写真を見せる用意をしていましたが、それも必要なく帰宅しました。
^ー^)

この記事を書いた人

祖母の代から続く美容室に生まれ、家業を継ぐために美容師になりました。お客様に喜んでいただける事、必要としていただける事が20年のあいだ美容師を続けてこれた原動力だと感じています。

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